人生の終着
木之内孝生は生きていた
いくらかのつまづきもあったけれど
生きていた
彼は 56歳になり
定年まで
残り4年と1ヶ月で生きていた
休日となった水曜日
太郎の久しぶりの散歩と考えていたのに
朝からシトシト雨が降る
だから久しぶりに朝ご飯を食べた後
こたつで1時間ほどまた横になって
眠っていた
今日の予定は夕方の歯医者のみ
昼ご飯を食べた後
2階の自分の部屋で今度は布団に入った
心地よい眠りにつこうとした時
そうだ!
金融機関に行くんだった と思い出す
小雨の中 急ぎ金融機関へ
ステップを走らせる
窓口で積み立てNIISAの話をきく
彼は老後資産をいかに形成していくか
何が最善か考えていた
貯蓄金額を増額するか
投資で資産を形成するか
答えは誰に聞いてもNIISAだった
50の歳から10年で1000万を目標と
してきたが
一昨年の11月に外壁塗装等工事で
会社からまた少し借り
昨年の11月にはその貯蓄から駐車場を
拡大する外構工事費用にいくらか使った
予定が遅れている
この4年で挽回せねばならない
世の中は 世界情勢は悪化をたどっている
誰もが自分の事を優先するように
なってきた
同じ地球で生きる人間同士が殺し合いを
続けている
この日本も例外ではなくなっていく
孝生は人生の終着を75歳と考えている
だから 1日 1時間とて無駄に出来ないし
むしろ 1日 1時間 悔いの残らないように
精一杯生きたいと
より強く思うようになった
この3月「チビ」だった 彼は
大学を卒業し 1人 名古屋に行く
1月の誕生日には 私の形見として
腕時計を贈った
教育費というものがこれでかからなくなる
先々が不透明になっていくなかでも
残りの人生を考えていく
孝生の人生は後 18年となった