minipin太郎 埼玉の空のもと

あれから11年が経ち、太郎マリオと人生終盤の日常の日記

3.11


衝撃的だった あの東日本大震災から
13年という月日が流れた
正確的に言えば 午後2時45分
だから まだこの時間は 普通の3月の11日の日だった
時折冬の冷たさが残る 日だった


孝生は朝から仕事していた
日常の忙しさだった 
そしてあの時間 あの揺れ
状況確認と 危険と思われる人たちへ呼び掛け に走った
確認後は とまったエレベータの代わりにに
たくさんのケースを持って階段を何度も行き来した
テレビで映る 映像は信じられないものだった
遅くなった帰宅時間 暗闇の中 歩道を歩いていく人を見かけた


次の日 休みだったけれど 出勤もしてみた
そして 福島の原発が爆発し 計画停電が日常化していく


太郎と散歩し土手に上がって 北に向かって祈り
わずかばかりの寄付をし  5月GW開けに一人ボランティアで
岩沼市に向かった 9月には自治体のボランティアにも参加し陸前高田へも向かった


時はとまることなく流れていく


鳥は飛ばねばならず 人は生き続けなければならない



朝 ロッカー室に入ると 着替えた彼が立っていた
癌が見つかって 投薬と治療をし 現場に戻ってきた
身体は当時と比べ物にならないくらいやせ細り
顔は目だけがぎょろっとしている 顔色も悪い 
自分より何歳も年が下


仕事が始まり 孝生は国外から持ち込まれたものを振分け始めた
大きく 重い それでいて字が小さい・・・
そこへ 彼がやってくる 応援のつもりでやってくる
:〇〇〇〇さん 大丈夫ですよ^^ これ位俺一人でやりますから
 椅子にでも座って休んでてください
それでも笑顔をつくってやろうとする彼・・
:俺がじゃあ 大きいのやりますから・・ 小さいのでも・・・
小さくても重いものがある :うっ!と声が漏れた
すかさず 俺がそれも持つ


孝生がここへやってきて この8月で12年となる
当然ほとんどの人間の生い立ちを知らない
歳も経験値も知らない
孝生は敬語で話す
孝生は歳よりも若く見られがち
そうすると男社会 舐められることもよくあった
でも 仕方ない 自分は降格した身 そんなことものみ込んで働いてきた
この彼もそんな男だった 
だけど それも最近 癌になる前 他の社員との話のなかで
孝生の歳がわかるような内容に気づく
そこから変わった 俺に対しての行動が変わった


全ての人がそうだったわけでもないし キチンと相対してくれる人もいた


ただただ人間関係は何処に行っても難しい


今朝も孝生と彼女は仲良くしていた いちゃいちゃしていた
布団のなかで抱きしめあって 愛し合った
彼女が俺を起こそうとそばにくる
:〇っちゃん 起きて^^
孝生が寝た振りをしながらまた彼女を抱きよせる
軽くキスをする :もう・・


そんな朝だった


今夜から連続夜勤が始まる 
埼玉の空は快晴 雲ひとつみることもない
風はそんなになさそうだ


温かいものを飲んで少しまた横になろう
太郎との散歩まで 少し休もう

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