minipin太郎 埼玉の空のもと

あれから11年が経ち、太郎マリオと人生終盤の日常の日記

瞳を閉じて


夜勤明け いつものように彼女に声を掛け
手をつないで車に乗り込み 朝の喧騒の中 走り始める


車内は
玉置浩二の「メロディー」から
福永雅治の「Squall]」にきりかわる
Squallは孝生が12年前 送別会で彼女への想いをこめ 歌った曲 
今も変わらず 忘れることなく歌える曲


そして 平井堅の「瞳を閉じて」になった


孝生と彼女の始まりは 20年前 2004年の春
孝生が「凛」というオーラを感じさせる彼女を
自然と目で追いかけるようになって 恋が始まった



20年前
孝生が投げ出した右腕を 彼女はやさしくずっと包み込んで
2人で観た映画 「世界の中心で愛を叫ぶ」
彼女はそれ以来 孝生にずっとやさしく寄り添って 支え 尽くしてくれる
オーストラリアで空に向かい「アキ」への想いを叫ぶ孝生は俺だった


初恋の相手「アキ」との想い出や記憶をたどりながら 想いを寄せる孝生
20年経って 同じように彼女との想い出をひとつひとつたどりながら 
想いを寄せるようになろうとは 思いも考えもしなかった・・


平井が 自らの瞳を閉じて やさしく 丁寧に「瞳を閉じて」を唄いつづける


当時の事を思い出しながら 孝生は心にしみ込んでくるこの曲を聴き続けた
自分勝手で 思い込みやこだわりが強かった孝生
他の男よりも 彼女との共有する時間は少なかったけれど
それでもたくさんの 想い出が蘇ってくる
ひとつひとつが昨日のことのように蘇ってくる


背中がぞわぞわと鳥肌が立つような感覚


彼女との恋は実らなかったけれど


自分のおこちゃますぎる感情で 最後 彼女への怒りをぶつけ
自ら縁を切ってしまったけれど
こんなにも人を好きになったことは 彼女以外 1人もいない
孝生が56年 57年生きてきて 
これほど素敵な女性と出会ったことは 彼女ただ一人だけ


心の奥がキューっとなるくらいのせつない想いや
悲しみや くるしさや そして怒り 
これほど多くの感情を寄せた人は 人生で唯一 彼女だけだった



平井堅の「瞳を閉じて」を何度も聴きながら 
孝生は
彼女に出会えたこと 
これほど多くの女性がいる中で
唯一 彼女に出会えたことが 
本当に幸せなことだったと
今 この時 感じた


心の底から 彼女に出会えたことが
孝生の人生の中で本当に一番幸せな事だった


実らなかった恋だったけれど
傷つけ 悲しい思いをさせてしまったけれど


彼女と出会えて本当によかった
幸せな日々だった 


感謝の気持ちでいっぱいな 朝だった

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