minipin太郎 埼玉の空のもと

あれから11年が経ち、太郎マリオと人生終盤の日常の日記

たしかなこと


昨日の朝7時
まだ起ききれていない孝生の布団の中に
彼女 〇〇〇が「〇っちゃん」とささやきながら
はいってきた
すーーっと からみつくように抱きしめてきた
まとわりつくように抱きしめてきた
驚きはしたけれど 孝生も同じように「〇〇〇」とささやきながら
抱きしめていく きつくきつく抱きしめていく
2人はひとつになった


彼女が今
この埼玉の空で 大空で舞っているのか
それとも そんなこと当然なく 埼玉の空のもと 元気に生きているか
それは わからない
でも この後から この時から 孝生と〇〇〇はひとつになった


おんぶしている? あの時と同じように?
名前を呼ぶと肩口から「なぁに?」と応えてくれる
声も 笑顔も当時のそのまんま 変わらない〇〇〇が俺のそばにいる
2人は12年経ってひとつになった


孝生はもう何も気にすることがなくなった
彼女は俺のそばにいる
ずっとこの先 そばにいる
14年も 心の中で どす黒い塊となっていたものが消え
誰に遠慮することもなく いつでも逢える ひとつになった
「もう離さない」


太陽が昇らない時間
ヘッドライトがいきかう中
車内では繰り返し「たしかなこと」が流れていた
12年前の夏の終わり 我慢できず そのことに耐えられず 耐えられず
別れのメールをした後も 当然彼女のことが好きだった孝生は
この曲がいきなり流れて 涙があふれた 涙がとまらなかった
せつなくて 悲しくて どうして俺だけが彼女から離されるのか
彼だけがどうしていつも仲良くできて メールでつながっているのか
それが耐えきれなかった


あれから12年がやってくる
彼が呼ぶと す――っといつでもあらわれる


彼女があの日のように助手席に座っている
孝生が左手をさしだし 「手をつなごう」のサインを出すと
はにかみながらも すーーと手をつないでくれる
今朝の「たしかなこと」はあの日のせつなかった曲ではなくなった
「もう離さない」 もう絶対離さない


夜中の仕事
ずっと前から右足の付け根 股関節が痛くて痛くて仕方がなかったのに
いつの間にか痛くなくなっていた 〇〇〇と同化したから?


何度も何度も聴きながら走って
たどり着く時
雲に覆われた埼玉の空 
秩父連山のはし 両神山の右奥 雲の切れ間で鎮座し
太陽の明かりで照らされた 雪化粧の浅間山が神がかっていた
浅間山だけでなく そこから続く妙義山や奥の谷川岳
赤城山から日光までが全て神がかるように素晴らしかった


孝生のこれからの人生は 〇〇〇と共に歩く
たしかなこととなった もう離さない

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