minipin太郎 埼玉の空のもと

あれから11年が経ち、太郎マリオと人生終盤の日常の日記

雨から晴れ


夜勤明け
もう帰る時間 間もないころ
孝生は一人 雨の外を 雨の空を眺めていた
雨は降ったりやんだりを繰り返し
雲は勢いよく流れていた


「メロディー」を口ずさむ


あんなにも好きだった ♪
きみがいたこの町に
いまもまだ大好きな
あの歌は聞こえてるよ


あの頃はなにもなくて ♪
それだって楽しくやったよ
メロディー泣きながら
ぼくたちは幸せを見つめてたよ


メロディーいつのまに ♪
大切なものなくした


遠い空流されても ♪


あの歌は心から聞こえてるよ ♪



12年前の自分を見つめていた
同じようにスーツを着て 辞令に臨む人たち
色々な事に翻弄され それでも自分なりにしっかり生きたつもり
しっかり出来なかったけれど  必死に生きたつもり


大切なものなくしたけれど
それでも必死に12年生きてきた


雨の中を走る
フロントガラスに向かってくる雨を振りほどきながら走った


人生は 起承転結  
もしかしたら 起承転結の繰り返し



台所で夕べの残りものを温め ストロングを飲み干し
風呂に入って 布団に入った


目覚めたら 埼玉の空は雨が上がり
雨が降っていたとも思えないくらい晴れ渡っていた


彼女の声が聞こえたような気がする
:私は大丈夫だよ 今は穏やかに幸せに暮らしています
 懐かしいお名前を聞き驚いていますが 当時はこちらこそお世話になりました
 定年までもう少しと思います あまり頑張りすぎず定年までお勤めを
 されますよう お体を大切にされますよう 願っています



孝生のとり越し苦労だったようだ


帰りの車の中 雨を見つめながら
何度も 「メロディー」と「声」
玉置浩二のささやき そして 桜井和寿の叫び を聴き
彼女の事を考えていた


白い雲が 埼玉の空を流れていく
ゆっくりと 穏やかに流れていく



さ いこう
俺も 残り4年 


そしてそこから続く人生を いこう


まだまだ終われない

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