今 また彼が1人旅立っていった
小さな街の駅から1人旅立っていった
3月末から 今回で3回目になる
何度立ち会っても複雑な気持ちになる
1986年3月
田舎町の小さな駅
自分は両親と共に3人で電車に乗り
ふるさとを離れた
4月1日から1人埼玉で生活を始めた
6人家族から急に1人になった
あれから38年
もう既に自分の子が
この家を旅立っていっている
#頑張ってな 声をかける
#うん とうなずいて 駅舎に消えていった
別れには色々な別れがある
旅立つほう 置いてかれるほう
あの日
俺は置いてかれるほうだと思っていた
彼と毎日仲良くしている姿
満面の笑みで飛び付いていく姿
俺よりも楽しくメールしている姿
それが頻繁に悪夢として襲ってくる
1人になると襲ってくる
頭の中がそれでいっぱいになる
好きすぎる想いとその悪夢が共存していた
終わりなどしたくないのに
終わったほうが彼女のためなのか
決断も心も決まらないでいた
綺麗な終わりかたというものが
あるのだろうか そこまでも考えていた
でも結局 好きだから 決められないでいた
置いていかれたほうはどっちだったのか
いまだに わからない
自分が置いていかれる側と思っていたから
尚更 彼女の言葉が理解出来ないまま
裏切られていた想いを爆発させてしまった
11年経とうとしているのに
今年の1月から 毎日考えているのに
いまだにはっきりしないまま
彼女の声だけが耳もとに残っている
彼との仲がどういったものだったのか
それがわからないから永遠にわからない
ただ あの日の彼女の「言葉」だけを
とらえ その「言葉」を信じ 理解出来たなら
終わりはなかった
あんな酷い終わり方はなかった
好きだから終わらなかった
別れは辛い
いまだに 辛く せつない
彼女にそんな想いをさせてしまった
本当に酷い男 酷い男孝生だった
人として 不義理な男だった
今もまた 自分の部屋から
彼女の住む 南の空を見て
彼女を想う